国税庁の質疑応答がいつの間にか消えてる件

 国税庁のホームページ作成費用の質疑応答がいつの間にか消えています。お気づきでしょうか。

内容を紹介します。

◼︎以下引用

当社では、このほど会社案内と商品のPRを目的としてホームページを開設しました。その制作費用として外部の企画会社に40万円を支払いましたが、この費用は、法人税法上、どのように取り扱われるでしょうか。

【回答】

一般に、インターネットを通じて公開されるホームページ(HP)の情報は、インターネットの接続窓口のプロバイダーと契約し、そのプロバイダーのホストサーバーに貴社のホームページの情報を登録してユーザーに提供されることになります。

 ところで、貴社のホームページの内容が、通常のホームページのように、会社案内と商品のPRであって、制作費用の中にコンピュータープログラム(ソフトウェア)が組み込まれておらず、会社の各種情報や新商品のPRなどのために内容が頻繁に更新されているならば、当初の情報内容を固定的に長期にわたって使用するものでないため、その制作費用の支出の効果は1年以上に及ばないと考えられます。

 したがって、ホームページの制作費用は、自社制作の場合であっても専門業者に制作を委託した場合であっても、原則として、一時の損金として処理して差し支えないと考えられます。

 ただし、その内容が更新されずにそのホームページの使用期間が1年を超える場合には、その使用期間に応じて均等償却することになると考えられます。また、そのホームページにおいて商品検索機能やオンラインショッピング機能などが付いているような場合は、そのホームページ制作費用の中に検索機能などに係るプログラミングの費用が含まれているものと思われますので、この分の費用については無形減価償却資産のソフトウェアに該当して耐用年数5年で減価償却を行う必要があると考えられます。

◼︎引用終わり


この質疑応答、専門学校の教科書にも載っていたので覚えてる方も多いと思います。
実務的にも、HP作成会社などは、この質疑応答をもとに、「HP作成は一発で経費にできますよ!」といって営業をしていましたし、会計事務所も金額の大小に係わらず、一発で経費にしているところが多かったのではないでしょうか。

しかし、この質疑応答、よく考えるとおかしいです。
「頻繁に更新するなら、当初の情報を長期に渡って使用してないから一発で落としていいよ」という意見には賛成できません。

そもそもウェブサイトというのは、HTML/CSS/JAVASCRIPTなどの言語を使って作成します。
文字や画像などの中身を、HTMLやCSSで配置を変えたり、飾ったりして完成するものです。
ゆるぼき(ウェブサイト版)のコードを見てみましょう。
20171008a.jpg
ざっくり説明すると、この英語だったり記号で書いてあるところがコードなのです。
このコードにより、文字が大きくなったり、装飾されたり、デザインやレイアウトが動かせたりするのです。

HP作成業者はが提供しているのはこのコード部分です。
だいたいの場合は、簡単に内容部分を書き換えられるツールなどと抱き合わせで販売しますが、そのツールで書き換えられるのは、文章・画像など中身の部分であって、コード部分はほぼ書きかえられません。

コードという骨組みは変わらないのに、中身だけ変えたら、支出の効果が1年以上に及んでないから損金ね!ということです。
これって、モノで例えるなら次のイラストのようになると思うのです。

20171008b.jpg
20171008c.jpg

って、いいわけないですよね(^^;)
でも更新を頻繁にしたらHP作成費用は支出時の経費としていいよ!ってこれと同じこと……ですよね?
なのに、HP作成費は支出時の損金です、という情報が広まってしまった現状に、モヤモヤしていたのです。
いつか記事のネタにしよう…と思って温めてましたが、改めて検索をすると、消えていました。

質疑応答は削除履歴などもないので、いつ消えたのかは不明です。
これまでは、いくらおかしな理屈でも、国税がそう言ってるじゃんで高額なHP作成費も一発で落としていた例もあるようですが、今後は、落とせなくなっていくのではないでしょうか。
そもそも本法に従って考えると償却すべきものです。(金額と契約内容にもよりますが)

質疑応答は法律ではないですが、多くの実務家が実務の指針にしており、税理士試験にも出題されています。
知識は常にアップデートをしなければならない、と思っていますが、削除履歴もなくしれっと消されるものについてはどうやってアップデートすれば良いのでしょう。
法解釈が訂正されていくのは良いことだと思いますが……国税庁HPの質疑応答には更新履歴をつけてほしいなと思うhiyocoでした。
[ 2017/10/08 20:18 ] ■簿記 | TB(0) | CM(1)

【法人税法22条】基本編その2(損金とは)

*コメント返信週末までお待ちください。

前回までみてきたように、法人は「法人税」を支払わなければなりません。
法人税は、各事業年度の所得に対してかかるものでしたね。
一定期間の設けた利益に対して課税するということです。

その「各事業年度の所得」というのは以下の公式により計算されました。

20170916b.jpg

益金というのは、前回勉強したように、基本的には会計上の収益の額を指します。
ただし、会計というのは、会社の利害関係者(ステークホルダー)を守るために、会社の正しい経営状態を伝えることを目的とします。
これに対して、税法というのは、課税の公平が目的です。
目的が違うので、会計上の収益の額をすべて、そのまま益金の額とすることはできないのでした。
よって「別段の定めがあるもの」は会計上収益であっても税法上は益金とならず、または、会計上収益でなくとも税法上益金となるものがあるわけですね。
この別段の定めについてはゆくゆく勉強していきましょう。

では損金についての法律をみていきましょう。

◼︎法人税法22条3項
内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、次に掲げる額とする。
①当該事業年度の収益に係る売上原価、完成工事原価その他これらに準ずる原価の額
②前号に掲げるもののほか、当該事業年度の販売費、一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く。)の額
③当該事業年度の損失の額で資本等取引以外の取引に係るもの
◼︎法人税法22条4項
前項各号に掲げる額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。


基本的には益金の構造と同じく、公正妥当な会計処理により計算された原価・費用が損金となるわけです。
損金についても、会計と税法の目的の違いから、別段の定めが設けられ、会計上費用となっても税法上損金とならないもの、会計上費用とならなくても税法上損金となるものがあるわけですね。

また②のカッコ書きについて検討してみましょう。
費用(--略--債務の確定しないものを除く)、とあります。
つまり、販売管理費その他の費用のうち損金として認められるのは債務の確定したもののみということです。
これを債務確定基準と呼びます。
なお債務確定の定義は、基本通達2-2-12で以下のように定めています。

(1) 当該費用に係る債務が成立していること。
(2) 具体的な給付をすべき原因となる事実が発生していること。
(3) その金額を合理的に算定することができるものであること。


たとえば、将来の費用である引当金などは、債務が成立しておらず、上記要件を満たしていないため損金には算入されません。
見込みで費用を入れると課税所得の客観性に支障をきたす可能性があるため、このような規定がされているんですね。
また、減価償却資産は購入した時において、(1)債務が成立し(2)引渡が完了し(3)金額が明らかになり、債務確定の3要件を満たしています。何らかのケアをしないと、資産購入時に資産の取得価額を全部損金にして良いことになってしまうので、②のカッコ書きに「償却費を除く」、と規定されているわけです。

なお、債務確定基準は②にのみ明記されていることを確認してください。
①、③については債務確定は定められていません。
特に①については、「収益と対応する原価」ですので、収益と対応する原価であれば、上記の債務確定要件を満たさずとも損金となります。
費用と収益は個別に対応するものだということは、会計も税法も一緒なのです。

次回から22条にまつわる事例を紹介していこうと思います。たぶん次回から楽しくなる…はず(^^;)

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*ゆるい会計・税法ブログを目指しています。
[ 2017/10/03 23:53 ] ■簿記 | TB(0) | CM(2)

勉強会やりませんか?

※締め切りました。

(10/10追記)
締め切った後であれなんですが、勉強会特設サイトを作りました。
http://yuruboki.com/study.html
次回やる場合はブログで告知後、ウェブサイトで申し込みという形にしようかなぁと思います。
相続税落ちてたらしばらくやりませんが・・・。
(追記終わり)

 というわけで、勉強会をやろうかなぁと思っています。

日程 11月25日(土)
場所 御茶ノ水
時間 14時から16時くらい
参加人数 上限5名(私含め)まで(2人以上あつまれば開催)
参加費 1000円(ドリンク付き)

内容は「冒険実務における課税関係」として
・モンスターを討伐して得られる金銭が果たして所得税法上何に分類されるのか?
・勇者が他人の家のタンスをあさって得た金品の所得分類及び時価評価の方法
・宝箱から得る金銭の所得分類
・武器及び防具の経費性
などについて条文及び過去の判例を用いて検討しようかなぁと思います。

所得税の話になりますので、私もそこまで詳しくありません。
とりあえず考えるための条文や判例を準備して、重要なところを抜き出してご紹介しますので、あとはみんなで考えよう!的な会ができればよいなぁと思います。
実務をやってても、今まで存在しなかったような取引はでてくるわけで、そういったときに、どういう風に条文をあてはめたり、判例を利用したりというのを学ぶための会です(自己フォロー)

くだらないことを真面目にやって遊ぼう、くらいのノリで!
日商1級終わったあとなので、1級受験生さんも、お疲れ会がてら、お越しください。
最初のほうから解説するので、税法の知識はいりません。
RPGのプレイ経験はあったほうがいいかもしれませんが…。

ということで、あまりにもくだらない企画かも、とビクビクしておりますので、人が集まるかどうか様子をみます。
参加希望の方はyuruboki@gmail.comまでメールくださいませ。

※あくまでゆるいノリで勉強するための会ですので、がっつりセミナーではありません。
 対価を得られるほどの講義はしませんのでご了承ください。(参加費は会場代の実費精算分です)
[ 2017/09/27 00:17 ] ■簿記 | TB(0) | CM(8)

【法人税法22条】基本編その1(益金とは)

 ゆるぞうくんは、株式会社YOROZOOを設立しました。
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株式会社YOROZOOで出た利益には、法人税が課されます。
これを各事業年度の所得に対する法人税といいます。
それでは、各事業年度の所得に対する法人税はどうやって計算するのでしょうか?

◼︎各事業年度の所得の求め方

法律をみてみましょう。
「内国法人に対して課する各事業年度の所得に対する法人税の課税標準は、各事業年度の所得の金額とする」(法人税法21条)とあります。
課税標準とは課税をする対象のことですね。

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以上のように、各事業年度の所得に対する法人税が求められるわけです。
そうすると、「各事業年度の所得の金額」を算定することが重要になってきますね。
これについては法律に以下のように定義されます。

「各事業年度の所得の金額は、その事業年度の益金の額からその事業年度の損金の額を控除した金額とする」(法22条1項)
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会計では、「収入」から「費用」を引いたものが利益ですが、法人税では「益金」から「損金」を引いたものが所得なのです。利益というのは会社の利害関係者に対する報告用に計算されるものですが、所得というのは課税の公平のために計算されるものです。これらは似てるけれど、別物です。

◼︎益金の額とは?
では、益金の額の定義についてみていきましょう。
「内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、その事業年度の益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資産の販売、有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供、無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引以外のものに係るその事業年度の収益の額とする。」(法人税法22条2項)
また、収益の額の定義は
「その事業年度の収益の額は、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従つて計算されるものとする。」(法人税法22条4項)
となっています。

22条2項についてみてみましょう。
益金の額に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、資本等取引以外の収益の額とする。
として、
①資産の販売
②有償による資産の譲渡又は役務の提供
③無償による資産の譲渡又は役務の提供
④無償による資産の譲り受け
⑤その他の取引
のように、益金の額に算入される収益の額の例示を示しています。

ここに収益の額とは、22条4項を見るに、企業会計における収益の額と捉えておけば良いでしょう。
また、別段の定めとは税法上特別に益金に算入する、算入しないと定められているものを指します。
特別に定めがあるものを覗いて、一定の収益の額を益金の額に算入しますよ、ということですね。
それぞれの取引のイメージとしては以下のような感じです。

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①、②の取引については、適正価格で取引をしているのならば、対価が益金となります。
④のモノをもらった場合については、資産の時価を受贈益として益金となります。

□無償のものも益金となる

さて、③の取引については、法人税特有の話になります。
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このように、タダで資産をあげた側・タダで役務の提供をした側について、時価によって益金が発生するのです。
上記の取引の場合、資産をあげた側の株式会社YOROZOOに100万円の益金が発生します。
法人は経済的合理性のない取引はしないという原則があるのです。基本的に、法人が他者と取引するのは全て時価によって為されるべきものなのです。
会計にこの概念はないので、アレッとなりまね。
これについては以下の仕分けで整理してみてください。

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一度時価相当額で取引があったものとして、あらためてそれを相手にあげた(=寄付をした)と考えるのですね。
ですので、この場合は、譲渡収入である100万円が益金に算入されます。
今日は益金の話ですから、寄付金の取り扱いについては、また次回以降。

最後に⑤の取引については、取りこぼしのないように、①から④以外に、収益が認識されるであろうすべての事実を指します。例えば、債務免除益や合併による譲渡収益などですね。

以上のように、法人税法上、益金が算出されます。
ここで抑えておくべきポイントは、無償による資産の譲渡・役務の提供は益金となる、ということです。
実際にそんな取引あるの?と思われる方もいるでしょうが、結構あるのです。
例えば、法人が無利息でお金を貸した場合です。この場合は利息をもらっていなくとも、もらうべき利息相当額を益金に計上しなければなりません。

さて、益金の額について確認しました。
次は損金です。

※22条の解釈については諸説あります。ご興味のある方は22条の深い沼にハマってみてください。
[ 2017/09/17 17:57 ] ■簿記 | TB(0) | CM(0)

こっそり始める法人税法

時は平成。あるところに、よろずやを営む、ゆるぞうくんがいました。
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ゆるぞうくんは、従業員も増えてきたことだし、法人を作ろうと思いました。
ただ、法人には法人税というものがかかってしまうようです……。
さらっと法律を読んでみましょう。
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なるほどわからん。しかし、どうやら法人は法人税を収める義務があるようですね。

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そもそも法人とは、法律により「人」と認められたものをいいます。
業務上の意思決定や契約などは「人」でない限りすることができません。
個人事業主の場合は、ゆるぞうくんが主体で業務上の権利と義務を負いますが、法人にした場合は法人が業務上の権利と義務を負うことになります。

さて、その法人にも、いろいろあるわけです。では確認していきましょう。
まず、日本国内に本店または主たる事務所があるかないかで「内国法人」と外国法人」に分かれます。
そして、さらに下図のように分かれます。いろいろな法人の形態や事業形態がある中で、一律に税金を課すのはよろしくないわけです。だから分けないといけないんですね。
20170915c.png
人格のない社団とは聞き慣れない言葉ですね。人格のない社団とは、町内会や同窓会のように、ある目的のために集まった団体のことをいいます。法人は法務局に登記がありますが、人格のない社団は登記がありません。よって法人格はないのですが、実質的に法人と競合するような事業を行うこともあり、こういった事業を行った場合に課税しないのは不公平だから法人税法上は内国法人に含まれるわけですね。

上記の表に法人税法4条を当てはめると以下のようになります。
20170915d.png

公共法人は国、地方公共団体または公共性の極めて高い法人であるので課税されません。そもそもこれらの法人が税金で成り立っているようなものなので、税金を集めて、集めたところに課税するってワケわかんなくなっちゃいますよね。
公益法人等、人格のない社団は収益事業のみ課税されます。収益事業の定義は法人税法に規定されていますが、基本的には他と競合するようなものが収益事業になるわけです。

このように、法人は分類され、課税される対象や税率が異なります。
これらの法人の毎年の利益(=所得)に対して課される税金が法人税なわけです。
法人税にも種類があるので、正しくいうと、「各事業年度の所得に対する法人税」が課されます。

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そうです。いろいろ書きましたが、株式会社が含まれる、普通法人に対する課税が一番重要です。
普通法人を中心に、法人税を、みなさんと一緒にもう一度勉強していこうと思います(^^)
次回は各事業年度の所得をどう計算するかという話。いわゆる22条ですね。
相変わらず不定期更新ですが、長い目でお付き合いくださいませ。
[ 2017/09/16 23:47 ] ■簿記 | TB(0) | CM(3)